コインランドリー経営は本当に儲かるの?実態を徹底調査!

不動産投資

サラリーマンの生涯年収が年々下がる中、自助努力として副業や兼業のほか、不動産や株式などの不労所得を得ようとしている人が増えてきています。しかし、ワンルームやアパートなど初心者にも比較的わかりやすく参入しやすい賃貸経営は過熱気味で競争が激化しています。

そこで、にわかに人気が出ているのがコインランドリー経営です。コインランドリー経営は、自分の物件であれば約20%以上の高利回りが見込めると魅力的ですが、内装工事や機械設備の購入などといった初期投資が高いというリスクもあります。今回は、そんなコインランドリー経営の実態について徹底調査しましたのでご紹介します。

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■コインランドリーは成長産業

全国のコインランドリーの店舗数は右肩上がりを続けています。厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査2014」によると、全国のコインランドリーの店舗数は毎年約5%の伸び率で増えているのです。

1996年度には1万228店舗だったが、2013年度には1万6693店舗と、そして2021年度には2万4500店舗に達すると言われています。洗濯革命本舗によると、コインランドリーは毎年300店舗のペースで増え続けており、今後、約4万店舗までは飽和しないといいます。

その背景として近年、コインランドリーの利用者が増えてきていることが挙げられます。コインランドリーが人気になってきた理由として、これまで主流だった単身世帯の利用に加え、羽毛布団やじゅうたんなどの大きな物も洗える利便性が認知されるようになってきたことにより、主婦や共働き世帯の利用者が劇的に増えているためです。また、天気が悪い日や花粉が多い時期は外に干すのが難しく、高層マンションでは景観や安全性の問題から外に干せないところも多いため、コインランドリーが重宝されるようになってきました。

1週間分の洗濯物が1回で済むほど、今の業務用洗濯機は大容量化しています。また、業務用乾燥機が劇的に進化しているのも見逃せません。家庭用は電気乾燥機ですが、業務用はガス乾燥機。あっという間に乾くし、仕上がりのふっくら感もまったく違います。乾燥機だけ使いに来る利用客も多くいます。

しかし、これだけ人気が急増しているコインランドリーでも、まだ日本の人口の4%にしか利用されていません。一度使えば家庭用との違いを感じてもらえるため、コインランドリー産業はまだまだ成長の余地があると言えるでしょう。

さらに近年は、店内をカフェのようなオシャレな内装にしたり、カフェやパンケーキ屋、ネイルサロンが併設されている店舗も登場するなど、コインランドリーは日々進化を遂げています。これらは、従来のコインランドリーのイメージを覆し、若い女性が行きやすい場所にして新たな客層を取り込むという戦略です。

■ビジネスオーナー型副業として注目を集めるコインランドリー経営

一部ではコインランドリー投資は数年前の一過性のブームというイメージもあるようですが、店舗数の増加など数字を見るとかなりの成長産業といえます。こうした業界の成長を受け、コインランドリーのフランチャイズ事業を展開するWASHハウス <6537> が2016年に上場するなど、まさに今、コインランドリー業界には追い風が吹いています。成長を続ける大きな理由のひとつが、店舗オーナーへの利回りの高さであると言われています。

コインランドリーはランニングコストが少ない

コインランドリー経営の月々のランニングコストは、洗剤などの消耗品の補充、光熱費、家賃、人件費(掃除等)と限定的です。機械が24時間稼働で収入を生み出してくれるので不動産投資のように空室の心配もありません。また、不動産投資や店舗運営の場合は駅前などの好立地が求められますが、コインランドリーの店舗は周辺に住居が多いことが収益を見込める条件のため、家賃が安価な立地でも十分にチャンスがあります。 オーナーが定期的に行う業務としては機械を使った集金と両替の対応と店舗の清掃程度であり、管理の手間が少ないことも魅力のひとつです。集金と両替は機械からお金を取り出して補充するだけなので数分で完了するし、清掃はパートを雇って対応するオーナーも多いです。全体的にみるとオーナーの収益リスクや、かかる負担が大きくないのが特徴です。

コインランドリーは初期費用が高い

コインランドリー経営はランニングコストが少なく高利回りを狙える一方で、店舗開業にはコストもそれなりに発生します。店舗の規模により異なりますが、家賃などの物件費用とは別に6坪程度の店舗でも機材を購入する場合には1000万円程度は初期費用として必要になると言われています。

費用の内訳としては、洗濯機、乾燥機、洗剤などの自動販売機、内装や運用のための工事費などです。初期費用に融資を活用する場合、コインランドリー投資への融資実績がある日本政策金融公庫を利用する投資家が多いです。

標準的なモデルケースとして、洗濯機3台と乾燥機7台の購入代金などで1200万円ほど、店舗の取得費用・内装やインフラ工事で600万円ほど。初期費用として計1800万円くらいかかります。

このモデルケース店舗の場合、軌道に乗れば1か月60万円くらいの売り上げになります。賃料、ローン返済、光熱費、洗剤代などがかかり、ローン返済期間中は10万~15万円、返済終了後は毎月30万円くらいの利益になっていきます。

コインランドリーは立地が命!?

コインランドリーがある場所は、駅近くよりも住宅街の近く、都心よりも郊外、4人以上の家族が多い地域、生活道路沿いにあり、車が停めやすい、洗濯・乾燥を待っている間に買い物ができるスーパーが近くにあるなど、利便性の高い場所への出店がポイントになります。 しかし、コインランドリーの出店ラッシュが続き、ニーズの高いエリアはどんどん減っていて、今では陣取り合戦のようになっています。

また、昨今は駐車場の広いコンビニやスーパー、大型ショッピングモールに併設する形での出店も増えています。投資家目線でいうと、すでに集客できている場所に出店するわけですから、テナントに賃料を払っても十分利益になりやすいのです。

普通の会社員や投資家の方がコインランドリー投資を始めようと思ったら、物件情報の提供や、オープン後のメンテナンス、コールセンター対応など、一連をサポートしてくれるフランチャイズに加入するのがいいと思います。

コインランドリー経営の落とし穴

不労所得として注目されているコインランドリー経営ですが、コインランドリー経営には不動産投資と事業経営の二つの側面があります。成功しているコインランドリーは確かに手間いらずで、次々とコインを吐きだしてくれる打ち出の小槌のように見えるでしょう。しかし、客足が遠のき、オーナーの意欲も薄れて廃業してゆくコインランドリーが年間500店をこえているのも事実です。


「収益を上げようと洗濯機の台数を必要以上に置き過ぎる、2号店の出店で赤字になるなど、過剰な設備投資で多額の負債を抱えてしまうオーナーも増えています」(経営コンサルタント)

営業担当に乗せられ、大手のフランチャイズに加盟して出店したら、スタートから赤字で借金が返せなくなったという事例も出始めています。「一番重要なのは立地」(同・コンサルタント)だとされているため、収益化のためには需要が見込めるエリアで先手必勝を狙うしかありません。

■浜名さんの例:1600万円投じたコインランドリー経営が大赤字!

コインランドリー投資の厳しい実情を語ってくれたのは、アラフィフのサラリーマン投資家の浜名朗さん(仮名)です。

首都圏某所に1600万円を投じて開業したコインランドリーは、間もなく開店1周年を迎えます。しかしこれまで一度も黒字を達成しておらず、毎月赤字を垂れ流しているといいます。

浜名さんは元々、本業である会社員の傍ら不動産投資を手がける、いわゆる「サラリーマン大家」でした。ここ数年、不動産市況が好調であることから所有物件の一部を売却。新たな投資先を探していた浜名さんの目に止まったのがコインランドリー経営でした。いくつかの業者に資料を請求して、セミナーに参加するなど情報収集を開始。投資家仲間でコインランドリーを開業した人がいたので情報交換も行いました。「比較検討した結果、業界大手A社とのフランチャイズ契約を締結することにしました」と語ります。

「他の業者は設備やリースに関する提案どまりだったのですが、ここは出店場所選びから具体的な提案してくれたので契約することにしました」

業者から提案された、出店候補の中から一番立地が良い店舗を選択した浜名さん。順調なはずの契約に何が起きたのでしょうか……?

開業費用の相場は2000万円!

業者が見積もった当初の開業費用は約2000万円超。主要な設備として乾燥機8台、洗濯機3台、洗濯乾燥機3台が計上されていました。「コインランドリーの開業費用としては相場程度」(浜名さん)だという。しかし、個人にとって2000万円は大金であり、初めての分野への投資は慎重になるべきところ。そこで、浜名さんは成功率を高めるために一計を案じました。

 「彼らが提出したシミュレーションは“甘い”と感じたので、自分でも独自にシミュレートしました。その結果を材料に本部と価格交渉をしたのです」

「さらに“堅い”事業展開を目指していた」という浜名さんは、新品を導入する予定だった設備の一部を程度の良い中古と入れ替えることに。本部と粘り強い交渉を続けた結果、最終的に400万円のコストダウンを引き出しました。

開業にあたり自己資金としてアパート売却で得た400万円を用意、残りは業者とリース契約を結びました。コインランドリーオーナーのなかには、政策金融公庫からフルローンで全額融資を受けて開業する人もいます。自身の状況を踏まえたうえで、浜名さんは他のオーナーの経営状況をこう推測します。

「開業費用をコストダウンして、ある程度自己資金を入れている私でも、赤字が続いて厳しい経営となっています。全額借り入れで開業したオーナーのなかには毎月の返済がかなり辛い状況の人もいるのではないでしょうか」

売上も経費もこんなはずでは…

開業前、「最新の設備を揃えた広い店舗で開業すれば近隣の競合を圧倒できる!」という説明を業者から受けていた浜名さん。しかし、実際にオープンしてみると期待は裏切られ、周辺店舗から客を奪うまでには至りませんでした。

 「よく考えれば、洗濯機や乾燥機が最新で多少性能が良いとしても、旧型と圧倒的な差がつくわけでもありません。いわば、どんぐりの背比べです。わざわざ今まで利用していた店舗から乗り換える理由にはならなかったのでしょう。結局は立地が物を言う商売ということです」 現在も客足は伸び悩んでおり、毎月の売上額は業者予想より3割以上下回った状況です。

 「出店後、認知されて固定客がつくまでには時間が必要という話を聞いていたので、当初の赤字は想定済みでした。しかし、1年経っても黒字化の目処が立たないとは。完全に誤算です」

毎月の経費ものしかかる…

「経費で特に大きいのが電気代です。私の店舗は比較的広く、40Wの蛍光灯が30本取り付けられているので電気代が馬鹿になりません。さらに空調も24時間稼働させているので、夏場はエアコン代も嵩みがちです。これからの季節、毎月の電気代だけで10万円を超えてしまいます」

業者の事前予想より4割ほど高い経費が、ボディブローのように地味に効いているといいます。

コツコツと経営改善するのみ!?

ただ、浜名さんにとって幸いだったのが、コインランドリーの赤字を補填してくれる家賃収入を得ている点です。アパートからの家賃収入が今の浜名さんにとって精神安定剤のような存在となっています。

今後はテコ入れとして、地域へのビラまき、照明のLED化、アウトソーシング比率の見直しといった、地道な経営改善に取り組むといいます。場合によってはテナント料の減額交渉もするつもりです。なんとしても年内の黒字化を目指すべく、背水の陣で奮闘しています。

コインランドリー“投資”とは言うものの、その実態は店舗を構えた事業経営にほかなりません。オーナーには経営者としての気概や努力が求められます。

■コインランドリー経営は今すぐ始めるべき?

確かにコインランドリー経営では、開業当初を乗り切り初期投資を回収できればある程度の収益を得ることが可能です。しかし、大儲けできている人は多くなく、さらに常に競合店開業の恐怖にさらされることになります。

今から参入して成功することは、立地のリサーチや事業経営に多大な労力をかけない限り非常に難しいといえますが、果たしてそれは、得る収益に見合った努力かと言われると難しいでしょう。

最適な立地を確保した上で、自分で店づくりをできる「コインランドリー経営」自体に魅力を感じていない限り、いまの時点では多くの人の熱が冷めて競争が落ち着くのを待つほうが得策といえるでしょう。

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